大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋地方裁判所 昭和27年(行)4号 判決 1955年6月23日

原告 合資会社明造商店

被告 名古屋国税局長

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

一、原告の申立

被告が昭和二十七年二月六日付をもつて原告に対してなした「松阪税務署長が原告の法人所得金額につき(一)昭和二十三年一月十一日から同二十四年一月十日までの事業年度分金十五万四千四百十九円(二)昭和二十四年一月十一日より同二十四年六月三十日までの事業年度分金五万一千四百十八円とする更正決定は不当でない故これに対する原告の審査請求はこれを棄却する」旨の決定はこれを取消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

二、被告の申立

原告の請求はこれを棄却する。

三、当事者間に争ない事実

(一)  原告は味噌醤油等の製造販売を業とする合資会社であるが、昭和二十四年三月七日所轄松阪税務署長に対し(1)昭和二十三年一月十一日から同二十四年一月十日までの事業年度分法人所得は金七万三千五百五十二円十七銭の欠損である旨の申告をなし、右法人税は納付せず、更に(2)昭和二十四年一月十一日から同二十四年六月三十日までの事業年度分法人所得は金七万八千八百八十二円九十五銭の欠損である旨の申告をなし、右法人税は納付しなかつた。

(二)  これに対し松阪税務署長は昭和二十五年五月中旬頃調査した結果、右(2)の事業年度分法人所得を金五万一千四百十八円と更正決定し、同年六月十日頃原告にその旨通知し、更に右(1)の事業年度分法人所得を金十五万四千四百十九円と更正決定し、同年十一月十日頃原告にその旨通知した。

(三)  原告は右(2)の事業年度分の更正決定に対して昭和二十五年六月十日付、右(1)の事業年度の更正決定に対しては同年十一月十四日付で夫々被告である名古屋国税局長に対し減額方審査の請求をなした。

(四)  これに対し被告は昭和二十七年二月九日原告に対し右松阪税務署長の各更正決定は不当と認め難いとの理由によつて右審査請求を棄却する旨の決定をなした。

四、争点

(A)  原告の主張

昭和二十三年一月十一日より同二十四年一月十日までの間(以下一年計算と略称する)における原告の所得は金四千五百五十円七十二銭であり、昭和二十四年一月十一日より同二十四年六月三十日までの間(以下半年計算と略称する)における原告の所得は金七万九千百三円五銭の欠損であるから、被告のなした原告の審査請求に対する棄却の決定は違法であり取消さるべきものである。

(B)  被告の主張

第一、

(一)  一年計算における原告の所得

総所得     三〇五、〇七三円五二

(内訳)

総収入   一、六六〇、三五三円七八 総支出    一、三五五、二八〇円二六

味噌売上高   三一〇、八二七円五四 仕入金      六〇九、二三四円五八

醤油売上高   八四二、九四四円一五 公団マージン   一九一、二一三円二三

ソース売上高    八、〇五五円四〇 諸経費      二八六、八九九円二九

雑収入      三七、五五八円〇〇 創立当初引継

原材料棚卸   四一八、四三八円六九 原材料      一九二、四八九円〇〇

公団立替金    四二、五三〇円〇〇 運賃        七一、九三二円六六

雑損失        三、五一一円五〇

(二)  半年計算における原告の所得

総所得     一二六、〇七二円九七

(内訳)

総収入   一、一二八、九二八円四一 総支出    一、〇〇二、八五五円四四

味噌売上    二三三、二五四円五四 仕入高      三八九、五三九円〇八

醤油売上    二一四、二六七円九五 諸経費      一三七、〇七三円四四

原材料棚卸   六五〇、一八三円九二 前期繰越

雑収入      二〇、一六七円〇〇 棚卸品      四一八、四三八円六九

公団立替金    一一、〇五五円〇〇 運賃        二一、九三一円一六

雑損失       三五、八七三円〇七

第二、右の一年計算及び半年計算における各味噌並びに醤油売上高は次のとおりである。

(一) 一年計算における味噌売上高

(1) 原告会社が営業開始にあたり訴外橋爪真次から引継いだ原料

大豆粉   二石六四六

大豆   一三石二〇〇

脱脂大豆  九石〇六二(二九叺)

(2) 三重県醤油工業協同組合から購入した味噌用原料

大豆粉  五三石六七六

大豆   一〇石〇五七

脱脂大豆 一四石三七五

玄米    〇石四〇〇

生甘藷  二三二八貫匁

裸麦   一六石四〇〇

大豆ミール 四石一五七

(3) 昭和二十四年一月十日営業年度末の味噌用原料棚卸高

大豆    五石九〇〇

生甘藷   二七五貫匁

裸麦    一石八九〇

脱脂大豆  二石一五六

大豆ミール 四石一二五

(4) 右(1)(2)の合計から(3)を差引いたものが、当期における原告の味噌製造用原料である。

大豆粉  五六石三二二

大豆   一七石三五七

脱脂大豆 二一石二八一(二一石一八一)

生甘藷  二〇五三貫匁

裸麦   一四石五一〇(一二石三三〇)

大豆ミール 〇石〇三二

玄米    〇石四〇〇

但し脱脂大豆については被告は二一石一八一と誤算したが、これを訂正すれば爾後の計算を複雑にし、且つ売上高を増すことになるので、以下の計算においては脱脂大豆二一石一八一として取扱う。裸麦一四石五一〇は原麦であるから、精麦に換算すると一二石三三〇となる。

(5) 原告は味噌仕込帳に当期の味噌製造用原料として次のように記載している。

大豆粉  四六石二九〇

大豆   三一石八二〇

玄米    〇石四〇〇

裸麦   一二石三三〇

脱脂大豆 一〇石一六〇

(6) 原告は売上簿(甲第九号証)に当期の味噌売上高は二七八、八四九円八六と記載している。この額は(5)の原料にもとずき製造した味噌と引継味噌製品及び増量用生甘藷による製品の合計より期末棚卸製品を差引いた味噌の売上高である。

(7) 従つて(4)から(5)を差引いた次の原料による製品の売上が(6)以外に存することになる。

大豆粉  一〇石〇三二

大豆  負一四石四六三

脱脂大豆 一一石〇二一

生甘藷  二〇五三貫匁

大豆ミール 〇石〇三二

但し大豆粉、大豆、脱脂大豆、大豆ミールは何れもこれにもとずく味噌製造の出来高は同じであるから、以下の計算においては便宜上大豆粉として合計し六石六二二として取扱う。なお生甘藷二〇五三貫匁は味噌製造においての増量用として使用されるものであるから、右(6)の売上の中に含まれているものとして以下の計算においては除外した。

(8) 大豆粉六石六二二を使用して味噌を製造すれば四七六貫匁できる。当期における味噌一貫匁の価格は六七円一八であるから合計金三一、九七七円六八である。

即ち原告が売上簿に記載する味噌売上高の右の金額の合計が当期における原告の味噌売上高であり、これは金三一〇、八二七円五四である。

(二) 一年計算における醤油売上高

(1) 原告は営業開始にあたり訴外橋爪真次から塩七、一五〇瓩を引継いだ。

(2) 南勢塩業株式会社から当期において塩一九、七〇〇瓩を購入した。

(3) 前記(一)、(4)記載の味噌製造用原料に対する所要塩量は六、四五六瓩である。

(4)(イ) 原告は売上簿に当期の醤油売上高を金五七四、三九八円〇二と記載している。これは売上明細表(乙第四号証の二)に記載の七五〇、五樽(二八五石一九〇)の売上高である。

(ロ) 当期末における醤油在庫量は二石〇七〇である。

(ハ) 原告が営業開始にあたり訴外橋爪真次から引継いだ醤油は一五石四九二である。

(ニ) 従つて当期における原告の醤油製造量は(イ)と(ロ)を加えたものから(ハ)を差引いた額となる。

285石190+2石070-15石492=271石768

(被告は右の計算において二七一石七六〇と主張するがこれは二七一石七六八の誤りであらう)

(ホ) しかして醤油二七一石七六〇を製造するには塩一一、七五二瓩を必要とする。

(5) 当期末における塩棚卸量は五、四五七瓩である。

(6) (1)と(2)の合計から(3)(4)(5)の塩合計を差引いたものが、(4)

(イ) 以外に原告が製造販売した醤油の塩である。

(7.150kg+19.700kg)-(6.456kg+11.752kg+5.457kg)=3.185kg

(ロ) この塩を使用して醤油を製造すれば七三石六五五製造できる。当期における醤油一升の価格は三六円四六銭であるから合計二六八、五四六円一三となる。

(7) 右(4)(イ)と(6)(ロ)との売上高の合計が原告の当期における醤油売上高である。

574,398円02+268,546円13=842,944円15

(三) 半年計算における味噌売上高

(1) 原告が前事業年度から繰越した味噌用原料は前記(一)(3)記載のように次の通りである。

大豆    五石九〇〇

生甘藷   二七五貫匁

裸麦    一石八九〇

脱脂大豆  二石一五六

大豆ミール 四石一二五

(2) 当期において三重県醤油味噌工業協同組合から次の味噌用原料を購入した。

大豆粉  四三石〇九二

玉蜀黍  二二石〇〇〇

(3) 原告は味噌仕込帳に当期の味噌製造用原料として次のものを記載していた。

麦    一一石八〇〇

(4) 昭和二十四年六月三十日営業年度棚卸原料は次のとおりである。

大豆粉   七石一八三

玉蜀黍  一三石二〇〇

(5) 右(1)(2)(3)の合計から(4)の原料を差引いた原料が当期の味噌製造用原料である。

大豆    五石九〇〇

生甘藷   二七五貫匁

裸麦    一石八九〇(一石六〇六)

脱脂大豆  二石一五六

大豆ミール 四石一二五

大豆粉  三五石九〇九

玉蜀黍   八石八〇〇

麦    一一石八〇〇

但し裸麦一石八九〇は原麦であるから精麦とした数量は一石六〇六である。

(6) 原告は味噌仕込帳に当期の味噌製造用原料として次のように記載している。

大豆ミール 四石〇〇〇

大豆粉  三二石四三四

麦    一一石八〇〇

脱脂大豆  二石一五〇

(7) 原告は売上簿に当期味噌売上高は一八〇、一八二円三四と記載している。この額は(6)の原料にもとずき製造した味噌と、繰越味噌製品及び増量用生甘藷による製品の合計より期末棚卸味噌製品を差引いた味噌の売上高である。

(8) 従つて(5)から(6)を差引いた次のような原料による製品の売上が(7)記載以外に存することとなる。

大豆粉   三石四七五

大豆    五石九〇〇

生甘藷   二七五貫匁

裸麦    一石六〇六

脱脂大豆  〇石〇〇六

大豆ミール 〇石一二五

玉蜀黍   八石八〇〇

但し玉蜀黍八石八〇〇は当期末頃購入しているものであるから、これを当期末棚卸原料とみなして右から除外した。脱脂大豆〇石〇〇六及び大豆ミール〇石一二五は本計算においては原告に有利のために欠減したものとして除外した。又生甘藷二七五貫匁は味噌製造における増量用原料として使用され、味噌仕込帳記載以外にこれを使用し従つて前記(7)に含んでいるものと認め、計算から除外した。

(9) 結局原告は味噌仕込帳以外に大豆粉三石四七五、大豆五石九〇〇、裸麦一石六〇六の原料を使用して味噌を製造しており、この原料からは七九〇貫匁の味噌が製造できる。当期における味噌一貫匁の値段は六七円一八であるから、合計五三、〇七二円二〇となる。

(10) 即ち(7)と(9)の売上合計が原告の当期における味噌売上高である。

180,182円34+53,072円20=233,254円54

(四) 半年計算における醤油売上高

(1) 原告は前事業年度から塩五、四五七瓩を繰越した(前記(二)(5))

(2) 南勢塩業株式会社から当期に購入した塩は、六、九八〇瓩である。

(3) 当期味噌製造用に原告が使用した塩は二、六七七瓩である。

(4)(イ) 原告が当期において味噌醤油配給公団の出荷指図によつて組合から割当てられて販売した醤油は二二石六三〇である。

(ロ) 昭和二十四年六月三十日営業年度末の醤油在庫量は〇石二四〇である。

(ハ) 前年度よりの繰越醤油は二石〇七〇である。

(ニ) 従つて(イ)(ロ)の合計から(ハ)を差引いた二〇石八〇〇が当期における帳簿上の醤油製造量である。しかしてこれに要する塩は九九三瓩である。

(5) 原告は当期末において醤油の半製品(モロミ)を有しているが、これに使用した塩は二三七六瓩である。

(6) 原告の昭和二十四六月三十日営業年度末の棚卸塩の量は四、五八七瓩である。

(7) 従つて右(1)(2)の合計から(3)(4)(5)(6)の合計を差引いた塩一、八〇四瓩が記帳外に存在し、これは原告が記帳外醤油を製造し販売した原料である。

(5.457kg+6.980kg)-(2.677kg+993kg+2.376kg+4.587kg)=1.804kg

(8) この塩により醤油を製造すれば四一石七一八製造できる当期における醤油一升の価格は三六円四六であるから金一五二、一〇三円八二となる。

(9) 原告が売上簿に記載している醤油売上高六二、一六四円一三は(4)(イ)の醤油を販売した売上高である。

(10) 右(8)(9)の合計が原告の当期における醤油売上高である。

152,103円82+62,164円13=214,267円95

第三、以上のように、原告の所得は一年計算において三〇五、〇七三円五二、半年計算においては一二六、〇七二円九七であり松阪税務署長のなした更正決定は一年計算では一五四、四一九円、半年計算では金五一、四一八円であつて、いずれも右所得額の範囲内であるから右更正決定に対する原告の審査請求に対し被告のなした請求棄却の決定は違法でないものといわなければならない。

(C)  被告の主張に対する原告の答弁(以下見出番号は前記(B)被告の主張に対応するものである)

第一、

(一)  一年計算における原告の総所得及び内訳の味噌売上高及び醤油売上高を争い。その他は認める。

(二)  半年計算における原告の総所得及び内訳の味噌売上高及び醤油売上高を争い。その他は認める。

第二、

(一)(1)  脱脂大豆の数量は七石二五〇(二九叺)である。その他は認める。

(2)  生甘藷のうち九三三貫匁を醤油用に使用し残り一三九五貫匁を味噌用に使用した。その他は認める。

(3)  認める。

(4)  計算関係は認める。

(5)  大豆粉は四九石一六〇である。その他は認める。

(6)  当期の味噌売上高が二七八、八四九円八六であることは認める。しかしこれは、被告主張の味噌から更に当期中の欠減二一八貫匁を差引いた味噌の売上高である。

(7)  否認する。原料の欠減があつたから仕込帳記載以外に使用した原料はない。

(8)  否認する。

(二)(1)  認める。

(2)  認める。

(3)  認める。

(4)(イ)  醤油売上額は争わないが、当期醤油売上量は二九〇石〇八〇である。

(ロ)  認める。

(ハ)  認める。

(ニ)  否認する。原告の計算によれば次のとおりになる。

290石080+2石070-15石492=276石653

(ホ)  否認する。二七六石六五八を販売するには処理操作の際の欠減と量目の量り込みを考慮し製造量は約三〇〇石であり、これに要する塩の数量は約一三、〇〇〇瓩である。

(5)  認める。

(6)(イ)  否認する。

(ロ)  否認する。これに相当する位の醤油モロミが出来たことは認めるが、これは当期に腐敗したので、これを販売した所得はない。

(7)  否認する。

(三)(1)  認める。

(2)  玉蜀黍は一八石三三三である。大豆粉の数量は認める。

(3)  否認する。原告は精麦一石五六〇を使用したに過ぎない。

(4)  認める。

(5)  否認する。

(6)  大豆六石〇〇〇、大豆粉三一石五五四、裸麦一石五六〇、玉蜀黍五石一二〇を使用した。脱脂大豆、大豆ミールは認める。

(7)  味噌売上高は認める。味噌の数量は、被告主張のものから処理操作等の欠減を差引いたものである。

(8)  否認する。欠減が生じたから仕込帳記載以外の原料は存在しない。

(9)  否認する。

(10)  否認する。

(四)(1)  認める。

(2)  認める。

(3)  認める。

(4)  認める。

(5)  認める。

(6)  塩の棚卸数量は六、三四四瓩である。

(7)  否認する。欠減及び前期発生の腐敗品の救済のために使用したから、この塩は存在せず醤油を製造しなかつた。

(8)  否認する。

(9)  認める。

(10)  否認する。

五、証拠<省略>

理由

当事者間に争ない事実は前記事実摘示欄三の通りであるからここにこれを引用し、以下当事者間の争点について判断を加える。(以下見出し番号は前記四、争点のうち(B)被告の主張に対応するものである)

第二、(一) 一年計算における味噌売上高

(1)  原告会社が営業開始にあたり訴外橋爪真次から引継いた脱脂大豆は右橋爪が昭和二十二年頃、三重県醤油味噌工業協同組合より配給をうけたものであるが、当時の取引における一叺の重量は、成立に争ない乙二号証によれば、昭和二十三年度における取引単位は一叺三七、五瓩となつているから、これから考えて一〇貫匁と認めざるを得ない。原告は昭和二十二年頃の取引においては一叺八貫匁入が多かつたと主張するが、成立に争ない甲二十五号証によつても右認定を覆えすことはできない。しかして右脱脂大豆が二九叺であることは当事者間に争ないところであり、証人清水壱良の証言により真正に成立したものと認められる乙三号証によれば、脱脂大豆三二貫匁が一石に相当するから右脱脂大豆を石数に換算すれば

29×10貫匁÷32貫匁=9石062

となる。大豆粉二石六四六、大豆一三石二〇〇については当事者間に争ない。

(2)  原告が三重県醤油工業協同組合から購入した味噌用原料

原告は生甘藷二三二八貫匁のうち九三三貫匁を醤油用に使用し残り一三九五貫匁を味噌用に使用したと主張するが、前記争点(B)被告の主張第二、(一)(7)において被告が述べておるところによれば、被告は右生甘藷を記帳外味噌売上原料から除外しているから、結局生甘藷の使用料は本件争点と直接関係ない故判断から除外し、一応被告の主張に基いて計算を進める。その他の原料は当事者間に争ないから、結局次のとおりとなる。

大豆粉  五三石六七六

大豆   一〇石〇五七

脱脂大豆 一四石三七五

玄米    〇石四〇〇

生甘藷  二三二八貫匁

裸麦   一六石四〇〇

大豆ミール 四石一五七

(3)  当期営業年度末の味噌用原料棚卸高は当事者間に争なく次のとおりである。

大豆    五石九〇〇

脱脂大豆  二石一五六

生甘藷   二七五貫匁

裸麦    一石八九〇

大豆ミール 四石一二五

(4)  被告は右(1)と(2)の合計から(3)を差引いたものが当期における原告の味噌製造用原料であると主張するが、この計算においては原料の欠減が問題となるので、後述(7)において判断することにし、ここでは判断を留保することとする。

(5)  味噌仕込帳記載の原料

当裁判所が真正に成立したものと認める甲第十号証によれば、昭和二十三年十一月十二日の豆粉仕込量として一二石九六と記入ある外括孤内に一一石七〇と記載され、次欄には同日付の豆粉仕込量として一六石六一と記入しある外括孤内に一五石と記載されているが。証人橋爪政治の証言によれば、同人は最初仕込帳に一一石七〇及び一五石と記載し、四五日後に追加仕込をしたため右各記載の横に一二石九六及び一六石六一と記載し、仕込経過を示すため最初の仕込量を括孤しておいたとのべているが。右甲十号証の記載によれば、豆粉一石当り味噌出来高七二貫匁となるところ、証人古橋彦作の証言によれば、豆粉一石に対する出荷量は最低七十二貫匁であることが認められ、又右甲十号証のうち他の欄の豆粉と味噌製造量との割合とも一致するところであるから、結局原告が仕込んだ大豆粉は、右甲十号証記載のとおり合計四九石一六〇と認めざるを得ない。右認定に反する成立に争いない乙十四号証は信用しない。

他の原料については当事者間に争ないから結局次のようになる。

大豆粉  四九石一六〇

大豆   三一石八二〇

玄米    〇石四〇〇

裸麦   一二石三三〇

脱脂大豆 一〇石一六〇

(6)  被告は「原告が売上簿に当期の味噌売上高として二七八、八四九円と記載しているから、この額は右(5)の原料にもとずき製造した味噌と期首引継味噌及び増量用生甘藷による製品の合計より期末棚卸味噌を差引いた味噌の売上高である」と主張し、これに対し原告は「右売上高の味噌は、被告主張のものから更に当期中の欠減二一八貫匁を差引いたものである。」と主張するので、欠減の点について両者の主張が喰違うわけであるが、結局争になつているのは次項(7)に判断する記帳外味噌売上高の存否であるため、右は直接関係がないから判断から除外することとする。しかして売上簿記載の味噌売上高については当事者間に争いないところであつて、次のとおりである。

金二七八、八四九円八六

(7)  原告は欠減があつたから記帳外味噌製造原料は存在しなかつたと主張するので、この点について検べてみると、証人橋爪政治、同田口長次郎、同清水壱良の証言を総合すれば原料運搬の際の破損及び虫鼡害により原料の欠減が通常発生することが認められ、証人清水壱良の証言によれば通常五%位の割合で生ずることが推測される。又一方右欠減を補充したと認めるべき証拠も存しない。ところで被告の計算によれば、当期の記帳外味噌製造原料は、(1)期首引継量と(2)当期買入量の合計から(3)期末棚卸量と(5)当期使用量を差引いたものであるというのであるが、右のうち(1)期首引継量及び(2)当期買入量は欠減を差引いてない数量であり、(3)当期使用量及び(5)期末棚卸量は欠減を差引いた実在数量を計上したものであることは明かである。従つて右計算においては、原料の欠減量を考慮しなければならぬであろう。即先ず(1)と(2)から欠減量を差引いて実在数量に換算し、その合計から(3)及び(5)を差引いたものが記帳外使用原料となることになる。元来(1)期首引継原料については運搬の際の欠減は生じないわけであるが、成立に争いない乙一号証の二には脱脂大豆の数量につき叺数のみが掲げてあり石数に換算する際の割合は、一搬取引におけるものを標準として計算してあるから、右数量が当時における実在数量であるということはできず、又前記証人の証言によれば、相当量の虫鼡害による欠減があつたことが認められるので、右期首引継量についても五%の欠減を差引くことが妥当であると考えられる。故に右欠減を考慮し、前記各認定事実をもとにして計算すると次のようになる。なお大豆粉、大豆、脱脂大豆、大豆ミールを一括して計算する。裸麦、玄米については記帳外製造原料は被告の計算においても存在せず、生甘藷も右から除外する。

(期首引継量+買入量)×(1-0.05)-(期末棚卸量+当期使用量)=

107石173×0.95-(12石181+91石140)=-1石507

右数量は負値になるから、結局記帳外原料はは存在しないと認めざるを得ないのである。従つて被告が記帳外原料が存在することを前提として、それによつて製造した味噌の売上高を計上しているのは誤りであるといわれなければならない。故に原告の当期における味噌売上高は前記(6)によつて明らかなとおり、金二七八、八四九円八六である。

(二) 一年計算における醤油売上高

(1)  期首引継塩の数量については当事者間に争なく次のとおりである。

七、一五〇瓩

(2)  購入塩の数量は当事者間に争なく次のとおりである。

一九、七〇〇瓩

(3)  前記(一)、(4)(一年計算における味噌製造原料)に対する所要塩量は当事者間に争なく、次のとおりである。

六、四五六瓩

(4)(イ)  売上簿記載の当期醤油売上高は当事者間に争なく次のとおりである。

金五七四、三九八円〇二

右の売上醤油量について、被告は成立に争ない乙四号証の二のうち昭和二十三年度中売上高明細表によれば当期おける醤油売上数量は七五〇、五樽となつており成立に争ない乙二十四号証(証明書)によれば、昭和二十三、四年頃における醤油製造業者においては一樽三斗八升乃至三斗六升として取引されているから、一樽三斗八升として計算すれば二八五石一九〇となると主張し、一方原告は成立に争ない甲九号証により当期間の売上量は自家消費量も含めて二九〇石〇八〇であると主張し、両者の主張は喰違つておるが、結局原被告間の争点は記帳外塩の存否であつて、弁論の全趣旨によれば、原告においても前記被告の主張(二)(6)で被告が主張するとほぼ同量の記帳外塩の存在を明かに争わないものと認められるから、以下においては右醤油の売上量については、被告の主張を根拠として計算することにする。

(ロ)  期末醤油在庫量はは当事者間に争なく次のとおりである。

二石〇七〇

(ハ)  期首引継醤油量は当事者間に争なく次のとおりである。

一五石四九二

(ニ)  右認定事実にもとずき計算すれば、当期における醤油製造量は次のとおりである。

(当期売上量)+(期末在庫量)-(期首引継量)=

285石190+2石070-15石492=271石768(但し被告は二七一石七六〇と主張する)

(ホ)  醤油二七一石七六〇に要する塩の量は一一七五二瓩であるとの被告の主張に対し、原告は右被告の主張は醤油販売量に対する計数上の塩の量であり、実際は醤油販売に要する塩の量は量り込み欠減等が約八分位存在するから、これを考慮して結局推定製造量三〇〇石に対する塩の量を計上しなければならぬと主張するのでこの点について調べてみると、被告の計算は原告も指摘するように計数上のものであつて、実際の製造量に対する塩の量でないから厳密には正確を欠くことになるが、前記(イ)に述べたとおり弁論の全趣旨によれば、結局右被告主張とほぼ同量の記帳外塩が存在したことは原告も明かに争わないところであるから、以下においては右の被告の計算による塩の量を根拠として計算することにする。なお前記(二)において述べたように当期醤油製造量についての被告の主張は、計算上の数量と〇石〇八の誤差があるが、これも右と同じ理由によつて一応被告の主張に従つて計算することにする。従つて醤油二七一石七六〇を製造するには証人清水壱良の証言により真正に成立したものと認められる乙七号証によれば次のとおりである。

一一、七五二瓩

(5)  期末棚卸塩の量は当事者間に争なく次のとおりである。

五、四五七瓩

(6)(イ)  右認定事実にもとずいて記帳外塩の数量を計算すれば次のとおりになる。

(期首引継量)+(購入量)-{(味噌製造に要した量)+(醤油製造に要した量)+(期末棚卸量)}=7150kg+19700kg-(6456kg+11752kg+5457kg)=3185kg

即ち三、一八五瓩である。

(ロ)  原告が右の塩を使用して醤油を製造販売し所得を得たとの被告の主張に対し、原告はこれに相当する位の醤油モロミができたことは認めるが、これは当期に腐敗し無価値なものになつたのであるから、被告主張のような所得はなかつたと主張するので、これについて判断する。検証の結果によれば、原告会社には約九〇石余の腐敗モロミが存在することが認められる。しかし乍らこの腐敗モロミが発生した時期については確かな証拠がなく、却つて証人古橋彦作、同清水壱良、同真弓金二郎の各証言及びその他諸般の事情を考慮するに、右腐敗モロミが少くとも昭和二十三年度に発生したものとは到底認めることができない。成立に争ない甲二十四号証、証人橋爪政治、同田口長次郎の証言および原告代表者(当時)中山長太郎の尋問の結果を綜合しても右認定を覆えすに足らない。しかして右のとおり記帳外の塩が存在することが明らかで、且つ当期に腐敗モロミが発生したものと認められない以上、原告が右塩を使用して醤油を製造し販売して、それに相当する所得を得たものと認めることが相当である。しかして証人清水壱良の証言により真正に成立したものと認められる乙八号証によれば、右三、一八五瓩の塩を使用すれば七三石六五五の代用醤油を製造できることが認められる。そして右代用醤油一升の値段は当裁判所が真正に成立したものと認める乙十三号証及び成立に争ない甲五号証によれば、三六円四六とするを相当とするから、これによつて計算すると次のとおりになる。

7365.5×36円46≒268546円13

即ち二六八、五四六円一三となる。

(7)  右(4)(イ)と(6)(ロ)の醤油売上高の合計が、原告の当期における醤油売上高である。

574398円02+268546円13=842944円15

即ち八四二、九四四円一五となる。

(三) 半年計算における味噌売上高

(1)  期首繰越の味噌用原料は当事者間に争なく次のとおりである。

大豆    五石九〇〇

生甘藷   二七五貫匁

裸麦    一石八九〇

脱脂大豆  二石一五六

大豆ミール 四石一二五

(2)  当期購入原料

成立に争ない甲十八ないし二十号証によれば、玉蜀黍一袋は四四瓩であることが認められる。又成立に争ない乙二号証によれば、原告が当期に買入れた玉蜀黍の量は五十袋であり、なお当裁判所が真正に成立したものと認める乙三号証によれば、玉蜀黍三二貫匁が一石に相当することが認められるから、右によつて計算すれば次のとおりになる。

50袋×44kg÷3.75÷32貫≒18石333

その他については当事者間に争いないから結局次のとおりになる。

大豆粉  四三石〇九二

玉蜀黍  一八石三三三

(3)  味噌仕込帳記載の麦

被告は味噌仕込帳に記載されている麦を一一石八〇〇と主張し、これを実質上は受入れとして計算しているので、右は誤りであるといわなければならない。なお味噌仕込帳に記載の麦の存否、数量については後述(6)において判断する。

(4)  期末棚卸原料は当事者間に争なく次のとおりである。

大豆粉   七石一八三

玉蜀黍  一三石二〇〇

(5)  当期の味噌製造用原料として被告はその算出の根拠を次のように主張する。

(期首繰越原料)+(購入原料)+(味噌仕込帳記入麦)-(期末棚卸原料)=(当期製造用原料)

しかし乍ら右計算において、味噌仕込帳記入の麦を受入れ原料として計算することは誤りである。これについては後述(8)において検討する。

(6)  味噌仕込帳記入の原料

成立に争ない乙十六号証及び同甲十号証を総合して考えると、味噌製造のために仕込まれた原料は次のとおりである。

大豆    六石〇〇〇

大豆粉  二六石四三四

裸麦    一石五六〇

脱脂大豆  二石一五〇

麦    一〇石二四〇

(7)  売上簿記載味噌売上高

被告は売上簿記載の味噌売上高は味噌仕込帳記載の原料によつて製造した味噌と期首繰越味噌及び増量用生甘藷による製品の合計より期末棚卸味噌を差引いた味噌の売上高であると主張するのに対し、原告は右被告主張のものから当期中の処理操作による欠減量を差引いたものであると主張し、この点両者の主張は喰違うわけであるが、前記第二の(一)(6)で述べたように結局争点は記帳外売上額の存在でありこれと直接関係がないので判断から除くことにする。しかし売上簿記載の味噌売上高は当事者間に争なく次のとおりである。

一八〇、一八二円三四

(8)  記帳外味噌原料は右認定事実により計算すれば次のとおりになる。

(期首繰越原料)+(購入原料)-(期末棚卸原料)-(仕込原料)=(記帳外原料)

右のうち仕込原料については、麦一〇石二四〇の仕込みに対し、その受入原料が不明であるから、結局これはこれに相当する正規のルートにより購入した原料以外に受入れた原料が存在したものとして、右の計算より除外することを相当とすると認められる。従つて右計算値は次のようになる。

大豆   負〇石一〇〇

脱脂大豆  〇石〇〇六

大豆ミール 〇石一二五

大豆粉   九石四七五

裸麦    〇石三三〇

玉蜀黍   五石一三三

生甘藷    二七五貫

原告は欠減によつて右記帳外原料は存在しなかつたと主張するので、これについて判断するに、購入原料については一般に五%の欠減があることは前記第二、(一)(7)で認定したところである。期首繰越原料については運搬による欠減は考えられず、虫鼡害による欠減が発生するだけであり、且つこれは原料の量も少なく又仕込までの期間も短いので僅少であると考えられる。しかして被告の計算においては大豆ミール〇石一二五脱脂大豆〇石〇〇六、玉蜀黍五石一三三を記帳外味噌製造原料から除外しているから、これでもつて右欠減(主に購入原料について欠減が発生したものと考えられる)は十分補われているものといわなければならない。従つて右計算においては欠減は特に考慮しない。なお生甘藷は味噌増量用として右計算から除外し、裸麦については精麦にする際の搗減り等の欠減を考慮して右の計算から除外すると、結局記帳外味噌用原料は次のとおりになる。

大豆粉   九石四七五

(9)  右のとおり記帳外原料が存在したことが明かであるから、特別の事情がない限り、右原料を使用して記帳外味噌を製造し且つ販売して所得を得たことを認定することは相当であるといわねばならない。

しかして証人清水壱良の証言により真正に成立したものと認められる乙十七及び同十五号証を総合すると、大豆粉九石三七五を用いて味噌を製造すれば約六七五貫匁できるものといわなければならない。しかして前記乙十三号証及び成立に争ない甲七号証によれば、味噌一貫匁の価格は六七円二八と認めるを相当とするから、これによつて計算すれば次のとおりになる。

675×67円28=45414円

即ち金四五、四一四円である。

(10)  従つて味噌売上高は前記(7)の金額に右(9)の金額を加えたものである。

180182円34+45414円=225596円34

即ち金二二五、五九六円三四である。

(四) 半年計算における醤油売上高

(1)  期首繰越塩は当事者間に争なく次のとおりである。

五、四五七瓩

(2)  購入塩は当事者間に争なく次のとおりである。

六、九八〇瓩

(8) 味噌製造に使用した塩の量は当事者間に争なく次のとおりである。

二、六七七瓩

(4)  醤油推定製造量は当事者間に争なく次のとおりである。

二〇石八〇〇

しかして右に要する塩の量は当事者間に争なく次のとおりである。

九九三瓩

(5)  期末におけるモロミに使用した塩の量は当事者間に争なく次のとおりである。

二、三七六瓩

(6)  期末棚卸塩の量

成立に争ない乙九号証の二によれば、当期末棚卸塩の数量は四、五八七瓩であることが認められる。成立に争ない乙十九号証の二及び当裁判所が真正に成立したものと認める甲二号証、同甲二十六号証の四、五によつても右認定を覆えすことはできない。

(7)  右認定事実にもとずいて計算すれば記帳外醤油製造用塩は次のとおりである。

(期首繰越量)+(購入量)-{(味噌製造塩)+(醤油製造塩)+(期末モロミ用塩)+(期末棚卸塩)}=5457kg+6980kg-(2677kg+993kg+2376kg+4587kg)=1804kg

即ち一、八〇四瓩である。

原告は、右記帳外塩は欠減があり且つ前期に発生した腐敗品の救済のため使用したから、存在しなかつたと主張するが、欠減についてはこれを認めるに足る証拠はなく、又前記に腐敗品は発生しなかつたことは前記第二、(二)(6)(イ)において認定したとおりであるから、原告のこの主張は認めるに由ないものといわなければならない。

(8)  右のように記帳外塩が存在することが明かであるから特別の事情がない限り、この塩で原告が記帳外味噌を製造し、且つ販売して所得を得たものと認めるを相当とする。しかして証人清水壱良の証言により真正に成立したものと認められる乙十二号証の三によれば、塩一、八〇四瓩を用いれば代用醤油が四一石七一八製造できることが認められる。又前記乙十三号証及び同甲五号証を総合すれば代用醤油一升の価格は三六円四六と認めるを相当とする。従つて右代用醤油の価格は次のとおりとなる。

4171升8×36円46≒152103円82

即ち一五二、一〇三円八二となる。

(9)  売上簿記載の醤油売上高は当事者間に争なく次のとおりである。

六二、一六四円一三

(10)  従つて原告の当期における醤油売上高は右(8)の金額と(9)の金額を合計したものである。

152103円82+62164円13=214267円95

即ち金二一四、二六七円九五である。

よつて以上の計算により原告の総所得を算出すると次の如くなる。

一、一年計算における原告の所得

味噌売上高、醤油売上高以外の収入、支出金額については当事者間に争ないところであるから、これと右に認定した味噌売上高、醤油売上高によつて計算すれば次のとおりになる。

総収入   一、六二八、三七六円一〇 総支出  一、三五五、二八〇円二六

味噌売上高   二七八、八四九円八六 仕入金    六〇九、二三四円五八

醤油売上高   八四二、九四四円一五 公団マージン 一九一、二一三円二三

ソース売上高    八、〇五五円四〇 諸経費    二八六、八九九円二九

雑収入      三七、五五八円〇〇 創立当初

原材料棚卸   四一八、四三八円六九 引継原材料  一九二、四八九円〇〇

公団立替金    四二、五三〇円〇〇 運賃      七一、九三二円六六

雑損失      三、五一一円五〇

総所得   二七三、〇九五円八四

二、半年計算における原告の所得

総収入   一、一二一、二七〇円二一 総支出  一、〇〇二、八五五円四四

味噌売上高   二二五、五九六円三四 仕入高    三八九、五三九円〇八

醤油売上高   二一四、二六七円九五 諸経費    一三七、〇七三円四四

原材料棚卸   六五〇、一八三円九二 前期繰越

雑収入      二〇、一六七円〇〇 棚卸品    四一八、四三八円六九

公団立替金    一一、〇五五円〇〇 運賃      二一、九三一円一六

雑損失     三五、八七三円〇七

総所得     一一八、四一四円七七

叙上説明のとおり一年計算における原告の総所得は二七三、〇九五円八四、半年計算における原告の総所得は一一八、四一四円七七となる。しかして、前記松阪税務署長のなした更正決定は一年計算における法人所得金額が一五四、四一九円、半年計算における法人所得金額が五一、四一八円というのであり、右はいずれも前示所得金額の範囲内であるから、右更正決定は違法でないと云わなければならない。従つて被告が原告の右更正決定に対する審査の請求を棄却したことも少しも違法ではない。しからば被告の審査請求棄却決定の取消を求める原告の本訴請求は、理由を欠くものであるから、これを失当として棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用し主文のとおり判決する次第である。

(裁判官 山口正夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例